セミリタイアやFIREがしたいのは会社を辞めたいからなのか

セミリタイアやFIREがしたいのは会社を辞めたいからなのか

Fire

最近、「FIRE(Financial Independence Retire Early)」や「セミリタイア」という言葉が一部で「ムーブメント」になっているそうです。

その定義は人によってばらつきはあるのですが、「経済的に自立して、早期退職する」、と言うことが大体の意味のようです。

Youtubeを見ていても、最近は「セミリタイア」「FIRE」について発信している、特に20代や30代の人たちが多いように思います。

そんな人たちの動画や、また、その動画のコメントを見ていて気づいたのですが、「自分も早く仕事(会社)を辞めたい」といった声がとても多かったのです。

それを見ていた私は、セミリタイアやFIREをしたいのは、会社を辞めたいからなのか、という疑問が出てきました。

今回は、まとまりがない内容になるかも知れませんが、最近のセミリタイアやFIREムーブメントについて思った、ちょっとした疑問を書き留めておきます。

セミリタイアしなくても会社は辞められる

退職願

私は、高校卒業後少しの海外留学を経て、そのまま起業しました。それからもう20年近くがたちますが、その間、家族もでき、その家族と海外で5年ほど生活するなど、他の人から見れば結構自由な生活をしてきたと思います。

またこの間、1度も特定の会社に就職をしたこともありません。セミリタイアの定義の1つが、「特定の会社に雇われずに経済的に自立して生きていく」ということであれば、ずっとセミリタイア生活が続いているようなものです。

ただ実際には、会社に雇われていなかっただけで、経済的にはきつい時期も結構ありましたし、今でも事業をしていますので、不労所得で生きているわけではありません。

それでも、会社に雇われている人が思うほどに、自分でお金を稼ぐことは難しくない時代です。会社を辞めたいことが目的であれば、セミリタイアをする必要も無いはずです。

早く辞めたいと思いながら働くのはきっとつらい

疲労

私は会社員をしたことがありません。ですので、会社員の本当の気持ちは、正直に言って分からないでしょう。また、会社員という生活を否定するつもりもありません。

ただ、「セミリタイア」や「FIRE」を目指している人の多くが、「会社を辞めたい」という思いを抱きながら働いていることを知ると、そんな働き方や生き方はつらいのではないかな、と思いました。

仕事をする時間というのは、きっと1日のうちの大きな部分を占めるのに、それを「早く辞めたい」と思いながら生きていくのは、人生の貴重な時間を失っていると言えるはずです。

自分でお金を稼ぐことは難しくはない

インターネットが発展した今の時代は、昔に比べ、自分でお金を稼ぐことがとても簡単になりました。

実はそのことを知らない人が結構いるのではないでしょうか。例えば月に100万円稼ごうとすればそれなりに難易度は上がりますが、月に20万円程度の生活費を稼ぐのであれば、かなり難易度は下がります。

もちろん、誰もが自分でお金を稼げるかと言えばそうではないでしょうし、稼げるようになるまでに時間もかかるかも知れません。

それでも、やりたくない仕事辞めることを目的に、ただお金を貯めるために働いていることを考えれば、別の道があるはずなのにな、と思います。

セミリタイアやFIREの目的は何か

目的

実際にセミリタイアやFIREした人は、お金の自由というよりは、「時間の自由」を大切にしたいのではないでしょうか。

私もある程度の時間の自由はあります。子供の学校の行事にはいつでも参加できますし、旅行に行きたい時にも自由に行けます。

会社に縛られている人から見れば、セミリタイア生活のようなものかも知れませんが、それでも不労所得で生きているわけではないので、働くことは必要です。

ただその仕事は、やりたくないことを無理矢理やる必要はありません。自分でやりたいサービスを計画して、実際にローンチし、改善を重ねながら、結果としてお金を稼ぐ、そのプロセスを楽しむことが出来ます。

セミリタイアやFIREといった生活ではないかも知れませんが、それでも、やりたくないことをやる生活でもありません。

セミリタイアやFIREをしたい人は、実際にどうしてしたいのか、その目的をもう1度考えて見ても良いのではないでしょうか。

目的と手段を勘違いすることは良くある

翼を付けた人

「翼をください」という有名な歌があります。恐らく多くの人がその歌詞を知っているはずです。

この歌の本当の意味や、その歌詞の意味するところはひとまずおいておきます。

ここでは歌詞を文字通りに見ることにします。すると、この歌の目的は、「悲しみのない自由な空へ」行きたいことなのです。

つまりそれは、「翼」がなくても出来ることなのです。

ここで目的と手段が出てきます。「翼をください」の歌の目的は「翼」なのか「大空を飛ぶこと」なのか、もしくは「悲しみのない自由な世界に行く」ことなのか(ここでこの歌の本当の意味がどこあるかは考慮しません。あくまで、例として取りあげただけです)。

ここで気をつけたいのが、最終的に「大空を自由に飛び回ること」が目的であれば、実は「翼」は間違いである可能性もある、ということです。

人類は長い歴史の中で「翼」があれば空を飛べると考え、実際に挑戦してきた人は多くいたものの、実際には飛べませんでした。

鳥が翼で空を飛べるのは、「軽量化」しているから、と言うことはよく知られていることです。実際に鳥のような翼で人間が空を飛ぶためには、両翼で何十メートルもの長い翼が計算上は必要となり、さらにはそれを動かすことが出来る筋力は相当なものとなります。

つまり、「翼」があっても空は飛べない可能性が高いのです。

手段が目的になっていないか

混乱

ここで話した「翼をください」の歌の例は、ある意味、冗談に近い話です。

ただ、この歌を歌う人の目的が、「空を飛ぶこと」なのであれば、「翼をください」というのは、決して最適な手段ではないのです。「悲しみのない自由な世界」が目的であっても、「翼をください」というのは、最適ではないでしょう。

もちろん、「翼によって空を飛ぶこと」が目的なのかもしれません。「空を飛ぶこと」ではなく、「翼をはためかせる」その行為自体が必要であり、それが無ければ「空を飛べても意味が無い」場合もあります。

そんなケースは考慮せず、本当の目的はやはり「自由に大空を飛びたい」ということであれば、タイトルが「翼をください」では、本来手段であるにすぎないものが、目的になってしまっています。

現実でもこの「手段」が「目的」になることはよくあることです。そしてその場合、実はその「手段」が手に入ったとしても、「本当の目的」は達成出来ないこともよくあるのです。

それは、「鳥のような翼」が手に入ったとしても、「人間が大空を自由に飛ぶことは出来ない」という事と同じです。それでも、多くの人はその「手段」があれば、「目的」が達成出来ると考えてしまい、いつしか「手段の1つ」ですぎなかったものが、「目的」になってしまいます。

セミリタイアやFIREは目的なのか手段なのか

セミリタイアやFIREの動画でのコメントを見たときに思った疑問は、まさにこの点にありました。

「セミリタイア(FIRE)」は本当に目的なのか、それとも、「会社を辞める」ということが本当の目的であり、そのための「手段」にすぎないのか、ということです。

もし、「会社を辞める」事が本当の目的なのであれば、他の「手段」は実はたくさんあって、セミリタイアやFIREは特に必要なかったりします。逆に他の手段の方がずっと難易度は低いはずです。

一方で、会社を辞めるという目的のために、セミリタイアやFIREがモチベーションになるという人もいるでしょう。数値目標が立てやすい、と言うこともあるかもしれません。

会社を辞めたい人はどうすれば良いのか

先にも書いたように、私は会社員をしたことがありません。

ただだからこそ、会社を辞めたいのなら、辞めてしまえば良いのになぁとは思います。

20歳そこらの会社勤めをしたこともないようなものが起業したとしても、もう20年近くも生活出来てしまっているのです。

お金を稼ぐことは実は会社を辞めたいと思っている人が考えているよりも、ずっと簡単だったりします。

では会社を辞めたい人に必要なことは何なのか。それは、何千万円も貯めて「セミリタイア」することではなく、「少しの勉強」と、「マインドの転換」、そして「行動力」だと考えます。

お金の稼ぎ方を「少し勉強」して、自分でも稼げるのだと「マインドを転換」する。そして大事なことは、その後ひたすら「行動」することです。多くの人はマインドの転換までは出来ても、「行動」ができず、「行動」できたとしても、「継続」ができません。

そこで結局、「別の何か」に目的を求め、それが「セミリタイア(FIRE)」になったりするのではないでしょうか。

ペンギン探偵の考察

考察

私自身も、もちろん過去には、「お金のため」に働かざるを得ない時期もそれなりにありましたし、今でも、ある意味「お金のため」に働いている部分はあります。

それでもやっぱり、自分で計画したことを1つずつ実行してお金を稼ぐという、そのプロセスは好きなことです。

ですので、月曜日が来る度に嫌になったり、連休が終わる度に嫌になったりと、そんな気持ちは基本的には抱きません。

そのため、きっと会社を辞めたいと毎日思いながら働いている人の気持ちを、本当の意味で理解することは出来ないでしょう。

ただ逆に、会社を辞めたいと思っている人も、会社で働いたことがない人の気持ちはあまり分からないのではないでしょうか。

簡単に会社を辞めてしまえ、とは言えないかもしれませんが、働きたくない会社でわざわざ働かなくても、実は世の中にはお金を稼ぐ方法は結構あるのだ、と言うことは、会社で雇われたことがない者の経験からくる言葉です。

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