私は、輸出ビジネスをこれまで10年以上行なってきました。この記事を執筆している時点(2022年5月時点)では、円安が急激に進んでいることもあり、輸出ビジネスに関心を抱いている人も多いかも知れません。
ただ、私は1ドル80~90円の時も、1ドル130円の現在も輸出ビジネスをしている経験から、「円安だから輸出ビジネスをしたい」という考えは、避けた方が良いと思います。今回は、輸出ビジネスをしたいなら、為替は気にしない方が良い理由を紹介します。
為替は変動する
当然ながら、為替はリアルタイムで変動します。常に変動するものを基準に利益計算することは非常なリスクとなります。今の為替水準が1週間後、1カ月後も同じとは限りません。
ニュースなどを見れば、ある程度の傾向は予測できるかも知れません。ただ、それが必ずしも当たるわけではありません。
輸出ビジネスはFXとは違い、為替の動向を常に気にして行なうものではありません。
為替前提の商売はうまくいかない
現在の為替水準で利益を出すことを前提に計算していた場合、円相場が変動するだけでビジネスがうまくいかなくなります。
もちろん、輸出ビジネスであれば円安になれば利益は増え、円高になれば利益が減ります。ただ少しの為替の変動で利益が大きく影響を受けるようでは、ビジネスとは言えません。
円安の時の為替を前提にしてビジネスを組んでいれば、継続性があるビジネスと言うことは出来ません。
為替抜きで利益は計算する
輸出ビジネスでは、まずは為替抜きで利益を計算しておくべきです。
そのためには、「仕入価格」を基準に、いくらの利益を取れるか計算した上で「販売価格」を決めるべきです。
その時には為替のことを考えず、いくらの利益を最低限確保するかを決めておけば、「仕入価格」+「利益」から販売価格を算出することが出来ます。
もちろん、USドルで売る場合には、「販売価格」を算出するときには「為替」が影響します。ただそれはあくまで最終的な販売価格が変動するだけであり、為替の変動に関わらず、最低利益は確保できます。
想定為替は設定しておく
輸出企業は「想定為替」を設定しています。
個人での輸出ビジネスであっても、「想定為替」は設定しておくべきです。
為替レートの変動に合わせて販売価格を計算するのではなく、想定為替を設定して計算しておけば、価格改定の手間を省くことが出来ます。ある程度、為替レートから余裕を持たせて想定しておけば、為替変動の影響も吸収しやすくなります。
また大きな企業であれば想定為替をすぐに変動することは難しいですが、個人の小規模ビジネスであれば、月単位程度で変化させてもそれほど業務に影響は無いはずです。
このあたりは小回りがきく個人ビジネスに利点と言えるでしょう。
円安はラッキーと考える
輸出ビジネスはもちろん為替の影響を受けるものです。円安に進めばそれだけ利益が増えますし、円高になれば利益が減ります。
ただ、為替を必要以上に意識しすぎることを避けた方が良いです。
円安の相場に頼って計画を立てるのでは無く、「円安」はラッキー程度に考えておく方が、ビジネス全体としてはうまくいくでしょう。
ペンギン探偵の考察
私は輸出ビジネスと同じく、輸入ビジネスもかなり長期間行なっています。
「円安」や「円高」は輸出や輸入ビジネスに興味を持つきっかけとしては良いかもしれません。
それでも、「円安だから」輸出ビジネスをしようとか、「円高だから」輸入ビジネスをしよう、という考えでは、ビジネスはうまくいきません。
為替の影響を避けることは出来ませんが、為替の影響はあくまで「運」程度にとどめておくべきです。
どの様な為替レートになったとしても、自分が想定した利益は確保できるように、商品の選定段階から、しっかりと計画は立てておくべきです。