私は元々文系で、「科学」に関しては素人です。
ただ、宇宙や科学技術と言った「科学」の記事を読むのは結構好きで、新たな発見もできて、ちょっとわくわくしていました。
私のような科学素人でも読むことが出来る「科学雑誌」と言えば、「ニュートン」と「日経サイエンス」の2誌が有名ではないかと思います。
実は以前、半年ぐらいの間、この2誌を両方とも定期購読して読み比べをしていました。
今回はこの2誌の購読を迷っている人向けに、もし定期的に読むとすればどちらが良いか、両誌の構成比較も含めて紹介します。
科学初心者ならニュートン
まず結論から言ってしまえば、科学の初心者であればニュートンが良いかとは思います。
詳しい構成比較は後に書きますが、先ずはなぜ「ニュートン」か、その理由から解説します。
ビジュアル的な見た目はニュートン
ニュートンは、「最新の科学情報をわかりやすくビジュアルにお届けします」とホームページにあるように、イラストが多く、読みやすいです。
それに比べて、日経サイエンスは、一見して文字が多いです。
イラスト・画像・ビジュアル中心のニュートンに対して、文字中心の日経サイエンス、といったイメージです。
ページ数は、ニュートンが144ページ、日経サイエンスが116ページと、ニュートンのほうが28ページ・約1.2倍多いのですが、文字数は恐らく日経サイエンスのほうが多いと思います。
(なおニュートンは、ニュートンが発行している書籍の広告ページも結構あります)
文字の大きさ(行間の幅)も日経サイエンスの方が小さく、記事の行数はニュートンが最大41行に対し、日経サイエンスは最大45行となっています。
さらにニュートンは、最大の41行を使っている箇所は見つけるのが難しいほど、図やイラスト、見出しが多く使われていますが、日経サイエンスは最大の45行を1ページ全ての列で使っているページも結構あります。
ということで、一目見た感じで文字が多い日経サイエンスは科学素人からするとちょっと読むのが疲れます。
記事の傾向からも初心者はニュートン
また両誌の傾向ですが、日経サイエンスは「SIENCTIC AMERICAN 日本版」というよに、アメリカの有名な科学雑誌「SIENCTIC AMERICAN」の翻訳から始まっています。今は日経サイエンスの独自記事も多くありますが、それも日経新聞の記者が書いていたりするなど、「科学的な専門情報を一般の人にも分かるように解説する」ような傾向が感じられます。
一方ニュートンですが、こちらは「科学的な知識をいかに普通の生活の中で活かせるのか」、という傾向が感じられます。
日経サイエンスは、基本的には専門家の教授が記事を書いていますが(正確には、その記事が翻訳されていますが)、ニュートンは専門家は「監修」として入っており、記事は編集者が書く形となり、専門家のコメントは記事中に「」(かぎかっこ)でくくられて出てきます(日経サイエンスも編集者が書いている記事もあります)。
そういったこともあり、日経サイエンスはちょっと「固く」「学問的」なイメージがあり、ニュートンはもう少し「柔らかく」「生活的」な感じがあります。
日経サイエンスは、「科学的な専門知識」が増え、ニュートンは「生活に活かせる科学知識」が増える、感じかも知れません。
そういったこともあり、初心者が続けて読めるのはニュートンの方だとは思います。
ただし、私の選択は日経サイエンス
ただこう書いたのですが、私は最終的には「日経サイエンス」を購読しています。この理由はまた後で述べます。
構成比較
それでは、ニュートンと日経サイエンスの構成を比較していきます。両誌とも構成は類似性があり、大枠の構成は、「最新ニュース」「メインコンテンツ(特集記事)」「サブコンテンツ(短い特集)」「連載物」となっており、これに各誌のオリジナルコンテンツがいくつか加わります。
周年記念やノーベル賞などの大きなトピックスがある場合には、構成が変わることもありますが、大体は各号とも各コンテンツの内容はページ数も同じぐらいのボリュームとなっています。
ここでは、通常号を例とした両誌の構成を比較します。なお、各誌の連載は2020年11月号~2021年1月号まで連載されているものを選んでいます。
ニュートン | 日経サイエンス | |
ページ数 | 144ページ | 116ページ |
ニュース | ・FOCUS: 4ページ ・FOCUS Plus: 4ページ(2個各2ページ) |
・NEWS SCAN – 国内ウォッチ: 4~6ページ ・NEWS SCAN – 海外ウォッチ: 8ページ ・From Nature ダイジェスト: 1ページ ・Topics: 1記事 |
メインコンテンツ | 特集: 通常は1個(時々2個の場合もあ): 60~68ページ | 特集: 通常2個(各16~30ページ) |
サブコンテンツ | TOPICS: 2~3個(各8ページ) | 各分野毎の記事や特別リポート: 通常3~4個(各3~9ページ) |
連載 | ・科学と倫理の交差点 ・みがこう論理的思考力(2021年2月号で終わり) ・みんなの「老い」講座(2021年1月号で終わり) ・こんなに違う!オスとメス |
※号により休載あり ・ヘルス・トピックス ・バズルの国のアリス ・BOOK REVIEW ・科学のアルバム ・サイエンス考古学 ・グラフィック・サイエンス ・nippon天文遺産 ・ANTI GRAVITY ・SEMICOLON ・今月の科学英語 |
独自コンテンツ | ・星ごよみ: 各月ごとに星ごよみが1ページ掲載されています。 ・新型コロナ関連の特集が毎号組まれています。 |
Front Runner: 4ページ。各号1人の人物のインタビュー記事が掲載されています。 |
その他 | ニュートンが発行する書籍に関する広告のページが結構あります。 | PRの広告企画が巻頭に数ページ挿入されています。また目次以外に、メイン・サブコンテンツの内容を簡潔にまとめた「ダイジェスト」もあります。 |
価格 | 990円+税 -> 1082円 +税(2021年4月号から値上げ) | 1333円+税 |
定期購読 | 1年: 10%OFF 3年: 30%OFF 5年: 50%OFF ※継続の場合は割引率がアップ |
1年: 約8%OFF 2年: 約19%OFF 3年: 約21%OFF ※継続の場合は割引率がアップ |
学割 | なし | 6カ月: 約37%OFF 1年: 約40%OFF ※継続の場合の割引率アップは無し |
構成比較の解説
ニュース
最新の科学ニュースを簡潔に紹介する「ニュース」コンテンツは、日経サイエンスの方が量が多いです。
日経サイエンスは「国内」と「海外」に分かれており、国内に関しては、日経新聞と日経産業新聞の記事が使われているものも多いです。国内・海外合わせれば10ページ以上あり、1つずつの項目の説明もそれなりにボリュームがあるものもあり、また各号「Nature ダイジェスト」として、Natureからの記事も1つあります。
一方ニュートンは、ボリュームは日経サイエンスに比べると少なくなっており、1つずつのニュース紹介も日経サイエンスより簡潔なイメージです。ただ、「FOCUS Plus」として、毎号2つ、それぞれ2ページずつを使い詳細に解説されているニューストピックスがあることが、特徴ではないかとは思います。
メインコンテンツ
ニュートンは、基本的には1つのメインコンテンツに60ページ以上をさいて、大ボリュームの特集が組まれています(まれに2つに分かれていることもあります)。結構ボリュームがあるため、一気に読み切ることは難しいです。実際、特集の中でも複数のパーツに分かれていることが多いため、自分の興味がある部分から読んでいくパターンも多いかとは思います。
日経サイエンスは基本的には各号2つの特集が組まれており、テーマはそれぞれ異なります。最近は特集の1つが新型コロナ関連となっていることが多かったです。ページ数はそれぞれ20ページ前後が多いように思いますので、ニュートンに比べると1つの特集のボリュームは少なくなっていますが、前述したように文字が多いため、読むにはそれなりに時間がかかります。
サブコンテンツ
サブコンテンツはニュートンは大体TOPICSが2個組まれています。他のコンテンツのボリュームによっては3個となる場合もありますが、ページ数は各8ページで固定されており、軽く読めるような感じです。トピックスにも生活の中で活かせるようなものや、ちょっとした豆知識系のものも多く、興味が引かれるものが多いように思います。
日経サイエンスは、「進化」「考古学」「科学史」「人類学」といったような、色々な分野の記事や特別レポートが3~4個、毎号紹介されています。どちらかというと、学術的な研究成果の紹介に近いような感じはうけますが、それぞれボリュームは少ないため、こちらも軽く読める感じではあります。
その他のコンテンツ
連載コンテンツは、ニュートンは毎号きちっと掲載し、数回で入れ替わるものが多いように感じます。ページ数もそれぞれ数ページ程度のボリュームとなっています。一方日経サイエンスは、連載物の数自体はニュートンより多かったのですが、号によっては休載するものも結構あり、また、それぞれのコンテンツのボリュームも1ページしかないものも多く、連載と言う感じは弱いかもしれません。
定期購読など
最後に定期購読に関してですが、ニュートンも日経サイエンスも定期購読が用意されており、ニュートンは最大50%OFF、日経サイエンスは最大21%OFF(いずれも定期購読を継続した場合はさらにアップ)となります。ただ、ニュートンは50%OFFにするためには5年間というそれなりの長期間定期購読をしなければならず、ハードルは高いです。
それでも元々の価格が日経サイエンスの方が高く、また1年の場合の割引率もニュートンの方が高いため、単純に1年間の定期購読と考えた場合の金額は、ニュートンの方が4000円近く安くなり、お得です。
ただここで1つ大きな違いがあるのですが、日経サイエンスには「学割」があります。通常学割というと大学生や専門学生以上のイメージかも知れませんが、日経サイエンスは中学生以上が対象となるのです。ここが大きなポイントで、学割を使えば、1年の定期購読で約40%という高割引となるのです。
通常1年の定期購読では、ニュートンでは10%、日経サイエンスでは8%しか割引にならないため、この学割の割引がどれだけ大きいか、おわかりいただけるかと思います。
ニュートンの1年定期購読は12,852円ですが、日経サイエンスの1年学割は10,435円と、2000円以上安くなります。
ここが、最初に書いた私が日経サイエンスを選んだ理由となります。
もともと3年や5年の長期間購入するのであればニュートンの方が学割を使った日経サイエンスよりも安くなるのですが、さすがにそこまで長期間読むかどうかは分かりませんでした。一方で、日経サイエンスの学割であれば、6カ月でも結構な割引率となるのです。
私は子供と一緒に読む前提で、子供の学割を使い申し込むことにしたため、最終的に日経サイエンスの購読を続けることとなったのです。
日経サイエンスの学割購入ですが、最初は6カ月から始め、この期間はニュートンも個別で購入し、読み比べをしていました。その結果が今回の記事となったのですが、さすがに科学雑誌を毎月2冊読むことは、科学素人にとってはかなりの負担となりました。結局、読めなかった記事も結構ありました。
科学雑誌は知識がない者には理解すること自体に時間がかかる記事も多く、普通の読書のように読み流しながら読むことが難しいため、結構読むのに時間がかかります。
継続するのであればニュートンの方がおもしろかったのかも知れないのですが、私は単純に「科学」に興味があったため、最終的には金額を決め手にして、1年間の学割定期購読を選びました。1年の定期購読をしたと言うことで、1年間は科学雑誌を読んでみよう、という動機付けにもなりました。
やはりいろいろな「知識」を得ることは出来るため、子供たちとの会話でも新しい話題を持ち出すことが出来て、会話の幅も広がります。
それでも一気に読むのは難しいため、最近は1日3ページずつ読むというスタイルにしています。日経サイエンスは114ページなのですが、広告のページや、ほとんど図だけのページもあるため、毎日3ページずつ読めば、大体1カ月で読み終えることが出来るのです。
科学雑誌はなかなか読む機会はないかもしれませんが、書店で見かけて興味があるコンテンツがあれば、一度は読んでみてもいいかもしれません。