以前、我が家の子どもの経験を元に、「中学受験を成功させるために親が知っておくべき10個のこと」という記事を書きました。
そこでも触れましたが、今や中学受験において塾は必須と言えます。今回はその理由に絞って、より深く紹介していきます。
小学生が自主的に勉強するのは難しい
中学受験でも「塾なし」で合格した、といった情報を見ることがあるかと思います。ただそれは、子どもに勉強習慣があったり、自主的に計画を立てて守る事ができる、といったパターンが多いはずです。
実際には小学生の子どもが「自主的に計画を立て」「自主的に勉強する」ことは非常に難易度が高いです。塾に行かずに「通信教育」を利用した場合でも、毎日時間を決めてコツコツと出来る子どもは、決して多くありません。
逆にそういう子どもであれば、塾に行かずに自学をしても良いかもしれません。ただそういう子どもは少数派であることは事実です。
また毎日勉強をコツコツ出来る子どもであったとしても、中学受験に向けて必要な勉強のスケジュールを小学生が組むことは簡単ではありません。親のサポートがあったとしても、毎日何をどの程度勉強すれば良いか、しっかりと計画を組む難易度はかなり高いでしょう。
勉強の時間を確保でき勉強の習慣をつくれる
塾に通えば、その時間は少なくとも勉強の時間を確保できます。また一定程度の宿題や課題も用意されるので、自宅で何を学習すれば良いかも迷うこともありません。
我が家の子どもも、自宅学習では中々勉強の習慣を身につけることが難しかったです。また小学6年生ぐらいになるまでは、実際には宿題もやっていないことがかなりました。
それでも、毎週塾に通って一定程度勉強していたことで、基礎的な学力は伸ばすことが出来ました。それが土台となり、6年生の夏以降の最後の追い込みに活かされてきました。
塾に通わない自宅学習だけでは、そこまでの学習時間を確保して、応用力をつけた学力を伸ばすことは難しかったはずです。
また宿題はやっていないことが多いとは言いながらも、一定の時間は家でも勉強する習慣を少しずつ付けてきたことで、最後には頑張り抜くことが出来ました。
こういったことを、小学生が独力で身につけることは非常に難しいと言えます。
中学受験にはテクニックが必要
中学受験で出される問題は、小学校の授業を受けていただけで解けるレベルを超えてきます。また問題の解き方にもいわゆる「テクニック」が必要となります。
特に算数では解くためのスピードを上げたり、間違いを減らしたりするため、テクニックを知っているかどうかで大きな差が出てきます。
そういったテクニックは、自学で身につけることは難しいです。中学受験向けの参考書も売っているため、それを購入して勉強することは出来ます。
ただ、たくさんの「演習」を行なって身につけることは、1冊の参考書を買っただけでは難しいです。
塾では、授業でしっかりとテクニックを教えてくれた上で、中学受験向けに作れた問題集をしっかりとやりこむとで、確実に身につけられるようにします。
高校受験や大学受験であれば、参考書や問題集も多数あるため、学校の授業を受けた上でそれを土台に自宅学習でも、受験に向けた学力を伸ばすことが可能かも知れません。
ただ残念ながら中学受験では、学校の授業をしっかり受けただけでは対応できず、問題集や参考書もそこまで多くはありません。「受験」対策の応用力やテクニックを身につけるには、自宅学習では限界があると言えます。
受験に向けたカリキュラムがある
塾では、受験をゴールとして、必要な学力を伸ばしてくれるための「カリキュラム」があります。
自分で計画を立てることが難しい小学生であっても、そのカリキュラムに沿って勉強をしていけば、受験問題を解くことが出来る学力を付けていくことが出来ます。
また受験の時期に合わせて、必要な復習も取り入れながら、学習成果が自然と身に付くようになっています。
親がサポートしたとしても、受験に向けて必要な学力を身につけるカリキュラムを独自に組むことは容易ではありません。
塾では、何年もの中学受験を経た中で洗練された経験と知識により、実際に6年生の春、夏休み、2学期、受験直前期と、それぞれの時期に合わせた必要な学習を行なうことが出来ます。
親のサポートと知識には限界がある
中学受験は親子の受験とも言われます。高校受験や大学受験とは違い、受験するのはまだ小学生の子どものため、親のサポートがどうしても必要となります。
塾に行く行かないにかかわらず、これは変わりはありません。
塾に行く場合でもサポートは必要ですが、塾に行かないで合格した人の体験記を見ると、親のサポートがさらに大きいことが分かります。
ただ、どうしても親のサポートには限界があります。そして、中学受験や勉強に関する知識でも、やはり限界があるでしょう。
我が家でも、志望校見学のスケジュール確認や申込みから、過去問を解く時のスケジュール管理、日々の勉強の進捗チェックまで、かなりのサポートをしていました。
それでも、やはり時間的な制約もある中で、親のサポートだけでは無理であることは実感しました。
加えて、勉強の質問などは、どうしても回答するには限界がありました。小学生の勉強といえども、長年勉強から離れていた親にとっては、質問に答えるだけでも大変なはずです。中学や高校レベルの方程式を使わず、中学受験に合わせて解き方を教えると言うのも、中々難しいものでした。
親の時間と労力をかなりつぎ込めるのであれば別ですが、やはり専門的なことは専門家に依頼する方が効率が良いと言えます。
塾は専門の情報を持つ
中学受験は学校選びの選択肢も多くあります。関東圏であれば、3~4校程度を1人で受験することは普通です。
1つの学校でも複数回の試験を行なっており、試験毎に科目や傾向も違ったりします。また毎年のように試験日程や内容に変更もあり、最新情報を入手することも重要です。
一方で、中学受験の経験は子どもにとっては一生に1度きりのことですし、親にとっても何度も体験できるものではありません。いざ情報を集めようと思っても、過去の経験を活かして、と言うことは難しいものです。
それに対して、毎年中学受験を経験している塾の講師は、受験に対する豊富な知識を持つことになります。
親や子どもにとっては悩んでしまうようなことでも、実は簡単に解決してくれたりもします。
親の個人の力では大量の情報を集めることも難しいですが、塾には最新の情報が集まってくるため、そこから生徒に合わせて必要な情報も提供してくれます。塾が作る情報誌も、学校選びや勉強方法にとって、大きな情報源となるはずです。
そういった専門で最新の情報を得ることが出来るのも、塾を利用する大きなメリットの1つです。
受験の相談相手になってくれる
私も仕事でコンサルティングを行なっていますが、塾の講師は、いわゆる受験におけるコンサルタントのような立場です。
中学受験では、志望校選びから日々の勉強方法、過去問の取り組み方、記述問題の解き方など、誰かに相談をしたい場面がいくつか出てきます。
一方で、中学受験の疑問に関しては、身近にすぐに相談出来る相手がいることはそれほど多くないはずです。そんな時に「プロのコンサルタント」に相談出来ることは、大きなメリットになるはずです。
特に、志望校選びや勉強方法に関しては、経験や情報が豊富な塾の講師に相談することによって、課題が解決することが多いです。
また何か困ったことがあったときに「相談出来る相手」がいることは、親にとっても子どもにとっても大きな安心感となります。これは、自宅学習では得ることの出来ない重要なポイントとなります。
塾の選び方には注意が必要
ここまで中学受験における塾の必要性について書いてきましたが、塾の選び方には注意が必要です。
塾によって、クラスの人数から、授業の進め方、宿題や予習のやり方まで、様々な点で異なります。
大人数でやる方が良い子どももいれば、少人数クラスが良い子どももいるでしょう。宿題が多い方がいい場合もあれば、塾で長時間やってくれるほうがいい場合もあるかも知れません。
中学受験まではかなりの時間を塾で勉強することになるはずですので、子ども自身が通うことが苦痛になるような塾では、続けること自体が難しいでしょう。
多くの塾では体験授業を受けることが出来るため、複数の塾でまずは体験してみるのが良いでしょう。
そして、子ども自身がココで通いたい、と思える塾に通うことが継続できるポイントにもなるはずです。
ペンギン探偵の考察
塾に通うことのネックの1つは、やはり費用でしょう。
金額は塾にもよりますが、月に数万円の費用はかかりますし、そこに春期講習、夏期講習、冬期講習、日曜ゼミ、志望校対策・・・と、追加の費用もたくさんです。2月の勝者で「課金ゲーム」という場面がありましたが、それもある意味事実です。
ただ中学受験は、多くの高校や大学の受験とは違い、試験の1発勝負で決めることが出来ます。内申点も推薦も関係なく、本人の努力によって結果を勝ち取ることが出来ます。
子ども自身が行きたい学校を見つけて、そこを目指して勉強すると決めたのであれば、その経験は今後の人生においても大きな力となるはずです。
お金というのは稼げば後からでも取り戻すことが出来ますが、小学生の時の時間は決して戻ってくることはありません。中学受験に挑戦できるのも一生に1度きりです。
子どもが目指したいというのであれば、最大限サポートしてあげるのが、本人にとっても親にとっても、後悔が残らない結果になるはずです。